ムスリムの友人とのかかわり方
イスラム教及びイスラム教徒について理解を深めることは、これからの社会を生きていく私たちにとって非常に重要なことです。
なぜなら、世界全体のムスリム人口は増加の一途をたどり、2100年には「キリスト教徒」を抜いて世界最大の人口規模になることが予測されているからです。
「英語」が重視されるのはその話者数*¹が世界最大だからです。
だから世界中の人が必死に勉強して使用するのです。
*¹母語話者ではなく「話者」です。母語話者ですと中国語が最大の人口規模を誇ります。
だから私たちはイスラム教についても理解を深める必要があります。
言語と宗教は異なります。
改宗したりイスラム教徒と婚姻関係を結ばなければならない というわけでは決してありません。
ですが、世界中でマジョリティのカテゴリーとなる事項について知らないというのは良くないです。
日本にも多くのムスリムの方が住んでいますが、その割合は決して多くはありません。
よって、普段からムスリムの方々と関わる機会がある方は少ないと思います。
しかし、東南アジアにおけるイスラム教徒の人口は非常に多いです。
タイは仏教国ですが、マレーシアと国境を接する南部を筆頭に首都バンコクにも大勢のイスラム教徒の方々が暮らしています。
そのため、タイに住むことになった際には日本にいるときとは比べ物にならないくらい高い頻度で彼らと関わることとなるでしょう。
よって、今回の記事では私個人が普段ムスリムの方々と関わる際に心がけていることを紹介します。
留学中の2年間でイスラム文化に触れる機会が豊富ありました。そこで学んだ彼らとの接し方や気を付けるべきポイントをまとめてみたので是非最後まで読んでみてください。
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「イスラム教」と言われて真っ先に思い浮かべるのは中東でしょう。
中東地域、アラブ世界にはイスラム教の国が沢山あります。
しかし、世界のムスリム国家で最大の人口規模を有するのは実はインドネシアです。
インドネシアの人口は2,8億人で日本の2倍以上です。人口の約9割にあたる2,4億人がイスラム教徒で中東の他のどの国よりも多くのムスリム人口を抱えています。
イスラム教=中東
というのは実は "少々的外れな方程式" です。
2010年にアメリカのシンクタンクが行った調査では、イスラム教徒が多い国トップ10は以下の通りでした。

パキスタン、インド、バングラデシュは中東の国ではありません。南アジアの国です。
第5位のエジプトがようやく中東の国です。
イスラム教=中東 というのは "少々ではなくだいぶ的外れな方程式" です。
インドの多数派宗教はヒンドゥー教です。
しかし、その人口規模が世界一なのでムスリム人口も非常に多いです。
世界で一番人口の多い国はもう中国ではありませんよ。インドです。
タージマハルはインドの有名な世界遺産です。私もぜひ訪れてみたい場所のひとつです。

皆さんあまり知らないでしょうが、タージマハルはイスラム教の建造物です。
16世紀初頭から18世紀後期にかけて繁栄したムガル帝国の皇帝によって建設されました。
「ムガル帝国」は現在のインド、パキスタン、バングラデシュ、アフガニスタンに当たります。
この4つのうちインド以外の3つの国は現在でもイスラム教多数派の国です。
インドはヒンドゥー教の国です。タージマハルはイスラム教の建造物です。
では、なぜパキスタン、バングラデシュ、アフガニスタンはタージマハルの領有権を主張しないのでしょうか?
主張しても何ら不思議はないではないか。
こんな議論をチュラ大の友人としたことがあります。非常に面白かったです。
インドとパキスタンは対立関係にあります。カシミール紛争が有名です。
インドとパキスタンの対立は実は世界の中で最も恐ろしい対立関係のひとつです。
だって、世界の核保有国のうち、隣接していて対立関係にあるのはこの2か国だけですから。
核ミサイルを最も素早く敵地に着弾することができます。隣接しているがゆえにまさに一触即発です。他国を巻き込むリスクを考えるよりも "やられる前にやる" 可能性が高いです。
話がまたそれてしまいました。私は国際関係学がとても大好きです。
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それでは本題のムスリムとのかかわり方についてです。
私の経験談も添えてご紹介します。
前提として、私は「非ムスリムの女性」です。
私の学科でたった一人のタイ人の同級生はムスリムです。
彼とはとても仲良くしており、2人で写真を撮ることも多々ありました。
恋愛関係にはありません。仲のいい友人です。
彼と2人きりで撮った写真は沢山あるのですが、私はそれらをSNSなどの公の場にさらすことはしません。
彼から何か言われたわけではありません。
しかし、恋愛関係にない男女が物理的距離も近く(何かボディタッチをしている訳ではありません。真横にいるということです。)映っている写真は敬虔なイスラム教徒の方々は良く思わないと聞いたことがあるからです。
友人との大事な思い出ですのでスマホのアルバムに大事に保存しています。
● ムスリム男性とは握手まで
ハグはしません。
「握手は良いけれどハグはできない」とはっきりと言われました。
たとえ自分が泥酔していたとしても、ムスリム男性に抱きつくなんてことは絶対にしないようにしましょう。
● 性に関する話題はしない
男女ともにムスリムの前では性に関する話題はしません。
恋愛や結婚に関する話題、例えばarraged marriageについて話すことはします。むしろ当事者たちから聞ける貴重な機会ですので興味津々で色々聞いたことがあります。
しかし、「性」この場合は主に性行為についてですが、友人同士の世間話だとしてもセックスについてムスリムの前では話しません。
特に、ムスリム女性の前ではかなり慎重になります。
男性の場合はある程度までは話しても問題ない場合があります。
「Are you virgin?」なんていう質問は悪ふざけであってもしない方が賢明だと私は思います。
● ムスリム女性の横に座るようにする。
例えば、公共交通機関を利用するときや学食などの "隣に誰でも座れる場面" においては、私はムスリム女性の友人の真隣に座るようにしています。
彼女たちは基本的には男性の横に座ることができません。
ですから女性である私が積極的に隣に座るようにしています。
● ムスリムの前で肌を露出しすぎない
男女ともにムスリムの前では過度な肌の露出は避けます。
私は普段から露出の少ない服装(半袖にロング丈のボトムス)ですが、たとえばノースリーブや少し胸元が大きく開いたトップスはマレーシアに行くときには着ませんでした。
チュラ大の友人でインドネシア人の女の子がいます。
彼女とインドネシアに旅行に行った際に沢山写真を撮ってインスタのストーリーにアップしました。
彼女はそれを彼女のストーリーにシェアする際、上半身がビキニ姿であった私の体にスタンプを張り付けてシェアしていました。
「私の友人は多くがムスリムだから、あなたがムスリムでなくてもビキニの写真というのは不快に思う人がいるからスタンプで隠す」と言っていました。
● 食事の際には配慮する
ムスリムは豚肉を食べません。
ですが、「ポークでなければいい」というわけではありません。
彼らは基本的に『ハラールフード』を食べます。
なので彼らと一緒に食事をする際にはハラールのお店に行きます。
大学でお昼休みに友人たちと複数人で食事をするとき、私たちは主に学食に行っていました。
チュラ大の学食にはどこの学食でもハラールフードのレストランが必ず1つはあります。
どこかレストランに行ってもいいのですが、ムスリムの友人ひとりだけドリンクのみで何も食べないという事態に直面して以降、集団の中に1人でもムスリムがいれば学食にするという感じになりました。
彼らは「大丈夫気にしないで。」と言います。
ですが、ムスリムやビーガン、ベジタリアンの人たちに配慮するのは何も大変なことではありません。私たちが損をすることは何もありません。
● 様々なムスリムがあることをよく理解する
イスラム教というのは非常に柔軟な宗教です。
どの程度厳格にその教えに従った生活をしているかは、同じムスリムでも個々人により様々に異なります。
例えば、先程例に出したインドネシア人の友人は必ず毎日5回お祈りをします。
一緒に旅行した際も私がまだ爆睡している午前4時ごろに1人で起きてお祈りしていたらしいです。
しかし、3回しかお祈りしない人や日により回数が異なる人もいます。
ハラールフードではない食事を摂ることもあります。
年に一度のラマダーン(断食)の時期でも、風邪をひいていたり生理中だったりすると日中でも飲食をすることもあります。
婚前交渉をする人もいます。
ヒジャブをまかない人も沢山います。
「ムスリム=ヒジャブやブルカなどを着ている」というのも間違えです。
赤ちゃんの頃からヒジャブを着ているわけではありません。
私の友人は中学生になった時に着始めたそうです。
いつ着始めるかも人によって異なります。母親は着ていても娘は着ない場合もありますし、昔着ていたけれど大人になって着なくなったという人もいます。
同級生のタイ人の男性は毎年サウジアラビアのメッカを訪れます。
インドネシア人の友人はサウジアラビアに行ったことはありません。
カナダ人の友人はムスリムですがお酒を飲みます。でも豚肉は食べません。でもお祈りはしません。ヒジャブはつけていませんが、常に長袖長ズボンです。
このようにイスラム教とは絶対にこれという枠組みが無くとても柔軟な宗教です。
基本の教えがあります。
ですが、それらにどの程度どの頻度したがって生活するかは個々人により、また状況によりとても異なります。
このことをよく理解したうえで彼らと関わる必要があります。
「今はラマダンじゃないの?まだお昼だけどご飯食べていいの?」
などなど不思議に思う場面に沢山遭遇すると思います。
しかし、それらすべてイスラム教徒としての行動です。
私は、彼らが自分はムスリムであると言った以上はそのことを念頭に置き、上記のような点に気を付けながら仲良くしています。
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日本人は一般的に無神論者や不可知論者、無宗教者だと言われています。
私は自分自身はなんの宗教も信じていません。
ですが、何かピンチの時に「神様」に祈ることがあります。「神様」はいると信じています。
なので私は『無宗教者』です。
特定の宗教を信仰しない人が多数の日本人である私たちにとって、宗教について理解するのは簡単なことではありません。
宗教は時として戦争の原因にもなります。
なぜそこまで宗教が重要なのか、なぜ宗教が違うというだけで殺しあえるのか、それらを私たち日本人が理解するのは難しいと思います。
私が身の回りのイスラム教徒から学んだのは「イスラム教はflexibleな宗教である」ということです。
東南アジアには日本よりもはるかに多くのイスラム教徒が生活しています。
そこに住むと自然と彼らについて理解を深めることができます。
しかし、皆さんお気づきでしょうが、中東の国々と東南アジアの国々では社会全体における宗教上の規律の立ち位置が全く異なります。
サウジアラビアでは女性は男性の同伴なしで外出できません。レストランや大学も男女で分けられています。
エミレーツ航空、カタール航空、エティハド航空は世界的に有名な中東の3大航空会社です。外資系のCAになりたい人のほとんど全員があこがれる会社です。
この3社は "外国人" を積極的に採用しています。働いている人の中に母国の人間はほとんどいません。
「女性は外に出ずに家にいるべき」という社会風潮があります。
考えてもみてください。
母国の人間だけで人員を賄えるならその方がずっといいです。
JALやANAの職員の大多数は日本人です。タイ航空のCAもタイ人がマジョリティです。
それは母国の人間がその会社で働くからです。
しかし中東の航空会社では、「女性の場合は外で働かない、男性の場合はとりわけ産油国などでは自ら収入源があるためにわざわざ会社に勤めない」といった具合です。
ですからUAE人やカタール人以外の人材を確保するしかないんです。
中東地域の方が社会全体としてもっとずっとイスラム教に厳格です。
なので、上記の気を付けるべきポイントは役に立たないと思います。
私もいつか、いつかではなく近いうちに、中東の国を訪れてみたいです。
そこで体験するムスリム文化は東南アジアでのそれとは全く異なるでしょう。
Sincerely,
Lala